宮﨑勤が著書を出していたっ！

　最近，読者からの問い合わせで，宮﨑勤が本を出版していた事実に接して驚いた．紛れもなく『宮﨑勤著』なのだが，彼自身は，文章を書くことが苦手で，出版社から質問を受けて，それに答える形式で書かれている．　　　　　　　　　　　　　　　　その内容は，1997年から『創』という雑誌に連載されていたようだ．彼の著書は，その雑誌社との往復書簡を取り入れて，編集部の記述とか，有名人の感想など余計な内容が盛り込まれて一冊の本になった代物である．　　　　　　　　　　　　　　　『夢のなか』連続幼女殺害事件被告の告白　宮﨑勤著　創出版　定価（1500円＋税）というのが，その本である．俺様は，まえがきを読んで驚いた．『ひょんなことから再逮捕されて超有名になった…』と記されていた．　　　　　　　　　　　　　　　　有名になりたいという希望もあったというが，こんな形で果たされたとしても彼はそれに満足しているのだろうか？　犯したとされる一連の幼女連続殺人の犯人として有名になっていると，何処まで自覚しているのか？　　　　　　　　　　　　　　　　彼は，高校時代から出版を考えていたが，文章が苦手で諦めていた．然し，本には書簡集というものがあって，手紙でも本になるのだと知って自分にも可能性があると知った過去の記憶が突然蘇って，手紙に気付いた．　　　　　　　　　　　　　　　　そんな拘置所の中で，唐突に出版を思いついて出版社に積極的に連絡を取った…．こうした経緯で生まれた本であるとされる．この一点からも，犯人が書いたとされる告白文のビッシリ書かれた写真が釣り合わない…．　　　　　　　　　　　　　　　　ただ，彼は決して文章が書けない人間ではない．自分の心にあることを書くことは決して下手ではない．外界に関心がないとしながらも，拘置所の中の様子について，かなりきめ細かく答えている部分には驚かされる．　　　　　　　　　　　　　　　　彼自身は，犯したとされる事件に，まるで現実感を感じていない．もっと衝撃的な記述は『カメラやビデオは好きではなく，撮影機にも写真にも撮影事にも興味はなく一台も持っていない』46～47頁の記述内容である．　　　　　　　　　　　　　　　　そもそも彼は，少女を裸にして写真を撮っていたところを少女の父親に見つかって捕まったのではなかったか？　また，何処からビデオカメラや写真機を手に入れて，死体を撮影したのか？　この一点も曖昧なままだ．　　　　　　　　　　　　　　　　彼の通った大学には，写真技術科，写真応用科，画像技術科の三つがあり，写真の文字を避けて，残りの画像技術科にすがりつくように入った位だという．こうなるとカメラを手離さない彼の印象が根底から覆される．　　　　　　　　　　　　　　　　宮﨑勤と撮影機器とは，密接な繋がりが絶対的な常識として世間にまかり通った．そんな彼が撮影機器を一台も持っていないという．遺体写真の送付など，この事件に撮影機器の存在が大きな役割を果たしているのだ．　　　　　　　　　　　　　　　　俺様は，彼が真犯人である痕跡を何処かに発見したい思いがあった．然し，肝心の事件に関する具体的な記述は，裁判が継続中のため意図的に外されている．それでも更に事件との関りから遠い彼の存在が見えて来た．　　　　　　　　　　　　　　　　本の内容から，彼の精神構造を伺うと，例えば，自分が死刑判決を受けたことにもさしたる関心を持っていない…．そんな判決とは関係なく，彼自身，自分はもうすぐ釈放されると頭から信じ込んでいる形態がある…．　　　　　　　　　　　　　　　　国選弁護人が，犯した事実は間違いないとして責任能力の視点で争うのに対して，事実認定から争うとして弁護を買って出た弁護士がいたというのだが，彼は，何故かこれを断ってしまった．意味が理解出来ていない？　　　　　　　　　　　　　　　　言ってみれば，自分との深い関りがある筈の外界の出来事には全く無関心である．自分の権利を主張して対決するなどの姿勢を基本的に取れない人間であると感じる．もっぱら自分の内面にある事柄で生きているだけ？　　　　　　　　　　　　　　　　死刑判決を受けた瞬間も，自分の前に机がないので，どうやって頬杖をつこうかと散々思い悩んでいた．普段，取っている姿勢が取れない苦痛だけが強く意識されて，判決の言い渡しそのものには，全く無関心である．　　　　　　　　　　　　　　　　それでも自分に性的な関心がないとする友人の調書などが全く採用されないことにはっきりと不満を感じている．自分を理解していない警察，検察，判事に対しては，その感じるところを書いているが訂正を求めない？　　　　　　　　　　　　　　　　果たして弁護士は，この辺りをどう対応しようとしているのか？　基本的に犯行の事実は，彼自身の行為だとする基本から動かないとするなら，それらは枝葉末梢的な些細な違いとして敢えて訂正する必要もないのか？　　　　　　　　　　　　　　　　俺様は，彼が逮捕されてから，弁護人とも家族とも接触出来なかった空白の期間に強い関心がある．取調室という密室の中で一体何が行われていたのか？　事件の鍵はその一点に全て隠されているのではないかと思う．　　　　　　　　　　　　　　　　然し，この本の中で垣間見られる国選弁護人の基本姿勢である責任能力の有無では彼が犯したとされる犯罪の証明は，明確になされぬままに真犯人であるとする前提で進行してしまう．彼の死刑は揺るがないだろう…．　　　　　　　　　　　　　　　　宮﨑勤逮捕の当初は，完璧なマスコミのお祭り騒ぎであったが，今は，彼が外界に向けて情報発信をした事実があっても，それを正面から取り上げようとはしない…．特に，撮影機器が一台もなかった事実はタブーだ．　　　　　　　　　　　　　　　　犯罪動機は，性欲を満たさんがための歴然とした形態だと見られているが，彼には性欲がない…．それがどういうものであるかも理解していない．彼の中には，とても今田勇子なる人格が存在しているとは思えない…．　　　　　　　　　　　　　　　　ただ，考え方によっては，例えば，宮﨑勤が性欲に憧れていたとすれば，その形が転移して，女性として子供の産めない云々の記述に発展する可能性も否定出来ない．ただ，それだけの執着心が全く感じられないのだ．　　　　　　　　　　　　　　　　今田勇子が宮﨑勤であり，遺族に遺体の骨を送り届けることに執心していたなら，現実の世界で散々思い悩んだ末の行動である．さめない夢の中で起きたことのように感じるというのも，極めて不自然な供述に思える．　　　　　　　　　　　　　　　　彼自身は，一連の被害者の幼女に関して，誘拐しようと企てたことはなく，殺意はなかったと供述している．全体的にさめない夢をみて，その夢の中でやったようだと公判の中で語っている点がずっと気になっている．　　　　　　　　　　　　　　　　彼は，自分が近々，釈放されると信じている．その根拠は，犯したとされる一連の殺人事件に対して明確な自覚がないからだと思う．それが，現実に起きたことだとの認識がない．彼にとっては絵空事の出来事なのだ．　　　　　　　　　　　　　　　　例えば，宮﨑勤と全く同じ格好をした警官が，子供のマネキン等を使って，実際に犯行を再現して，彼がそれを目撃させる形で何度も行ったとすると，彼が言うようなもう一人の自分が現われて云々の記述になり得る．　　　　　　　　　　　　　　　　然も，ここでも都合よく万引きの話が出て来て，ドッキンドッキンしながら云々の話になる．もう一人の自分が逮捕前から出現していたことを匂わせる．然し，これが本当かどうか，俺様は，極めて疑わしいと考える．　　　　　　　　　　　　　　　　宮﨑勤は，叔父が死んだ頃から，両親が実は本当の親ではないことが解ったとする記述をしている．呼び方も『おい』『よお』『なあよお』などとしていたと記す…．然し，本当にそうなのか否か疑わしい個所もある．　　　　　　　　　　　　　　　　母親が証人尋問の中で，勤に『この人』と呼ばれたのは今日が初めてですと驚いた供述をしている．子供の頃から『パパ』『チャーチャン』と呼んでいたと証言する．宮﨑勤は，取調室の中で異常者にされて行った…．　　　　　　　　　　　　　　　　特に，71頁の写真などは，宮﨑勤の周囲にいる警察側の方が何か企んでいるように感じられてならない．^_^;　供述は全て警察に合わせて行ったという宮﨑勤である．こんな状況で，何処まで証拠が固まっているのか？　　　　　　　　　　　　　　　　宮﨑勤は，取調べに際して，警察の言うことを否定すると，酷い拷問にあったとの記述をしている．然し，誰も敢えてこれを問題にしようとはしない．こんな犯罪者に人権を問題にする必要はないと考えられている…？　　　　　　　　　　　　　　　　最近，中州に取り残された不良未青年の群れが，救助に当った消防隊員らに暴言を吐いたという．週刊新潮に依れば，彼らの一人が，報道陣に掴み掛かろうとした際に警察官に投げ飛ばされ，野次馬が拍手したという．　　　　　　　　　　　　　　　　俺様も，そういうヤツラなら，救助せずに消防訓練に切り替えて，放水して濁流に流して一件落着にすれば良さそうなものだと考える．幼女を殺した真犯人が取調べの刑事に拷問されたとて，問題にする気も起きない．　　　　　　　　　　　　　　　　今回，初めて読んだ『宮﨑勤著』の中で，彼が撮影機材を一台も持っていないとの記述を発見して仰天した．彼が逮捕された瞬間から，真犯人にされて，連日叩かれる過程を見続けながら感じた違和感はここにもある．　　　　　　　　　　　　　　　　被害者の遺体の形態は，恐らく幼女に対して強い性欲を抱く人間であるとの明確な痕跡があったものだろうと思う．実際，この事件から，ロリコンと呼ばれる人々が，世間から敵対視される大きなきっかけにもなった．　　　　　　　　　　　　　　　　だが，宮﨑勤は，ロリコンではなく，単に，子供時代に見たテレビの録画を集める趣味を持っていたに過ぎない．その再放送は地方でしかなされず，交換条件として，彼は相手の趣味に合わせたビデオを集めただけ…．　　　　　　　　　　　　　　　　彼がパンチラ写真を撮影していたとされる情報も，そんな友人の趣味に付き合って相手から渡されたビデオやカメラで，嫌々ながら撮影に付き合ったという彼の記述がこの本の中にあった．そんな話に不自然さはない．　　　　　　　　　　　　　　　　宮﨑勤が遺体を撮影して，そのビデオが天井裏から発見されたというのだが，では彼は，何処から撮影機材を手に入れたかについては『忘れた』という．だが，最低限遺体を撮影したテープが存在するのだろうと思う．　　　　　　　　　　　　　　　　もし撮影機器を一切持たない宮﨑勤が写したものではないとしたなら，この事件は一体，どうなるのだろう．警察は，真犯人からビデオを押収したということになる．警察は，当の真犯人の身代わりに彼を仕立てた…．　　　　　　　　　　　　　　　　これは，俺様の当初からの独善的な推測であった．然し，後から出て来る情報が，そんな俺様の世迷言に適合して行く現実は一体何なのか？　改めて問う．この事件の真犯人が宮﨑勤である確たる証拠は一体何なのか？　　　　　　　　　　　　　　　　マスコミは，宮﨑勤に性欲がなく，撮影機器を一台も持っていなかった事実を全く掴んではいなかったのかどうか…．彼の友人等に取材して，そんな情報を得たことが一度もなかったのかどうか，これも怪しいことだ．　＊＊　悪魔　＊＊　　　　　　・目次に戻る