市民・学生に幻の城を築かせる警察とマスコミ

市民・学生に幻の城を築かせる警察とマスコミ

 既に,あらゆるマスコミ報道の中で,神戸首斬り殺人事件は,中学生の犯行として 断定している.未だ証拠もないのに,これを前提に,学者ドモや芸人ドモが,誰にも 思いつく理屈で,偉そうにご託宣を並べ立てる….                 果して,今の段階で,彼が犯人であることが,何処まではっきりしているのか?  何を根拠に,逮捕された中学生の犯行が立証出来るのか? 様々なコメントを寄せて 商売している輩は,自らの良心に問い直すがよい.                 今の状況では,未だ犯行に使用した凶器は,発見されていない.少なくとも警察は それを発表していない.今朝も,事件の続報として,血液型を特定出来ない,少量の 血のついたナイフ数点を自宅から押収しただけ….                 更には『別の傷害事件についても犯行を認める供述をしている』と発表している. 直接,首斬り殺人の容疑すら,明確には固まっていないのに,ともかく犯罪者である 前提を,連日,マスコミに流している警察である.                 こうした警察発表に乗ったマスコミは,7年前,宮崎勤に対して,同じ裁きを連日 繰り返したのだ.然し,肝心の一審判決が出たのは今年である.何ら,法的手続きも 取らずに済む報道が散々裁いた通りの判決である.                 26歳だった宮崎勤は,丸二ヵ月の間,孤立無援の中で,警察の取り調べを受けた. 一方,今回の中学生は,丸一日,警察に缶詰にされた.大人と子供の差はあるのだが 時間感覚では,二ヵ月と一日は,同じ比率を持つ.                 昨晩の筑紫哲也が登場するニュース番組の中では,首斬り殺人について,一般から FAXで意見を募集していた.同世代の中学生や高校生から意見が寄せられていた. もし事実が覆ったら,彼ら,学生は何と思うのか.                 もし証拠固めが出来ずに,処分保留のまま釈放と言う事態になったら,マスコミは これをどう報道するのか? 事実上,もはや,この首斬り殺人は,後戻り出来ない. 逮捕された中学生以外に,犯人が居ては困るのだ.                『事件の続報で,○○が明らかになりました』得意気に,ニュースを流した関係者は 腹を切って世間に謝罪する勇気はあるのか? 思い起こすがいい.現職の一警察官が 『長官を撃った』と,自首した顛末はどうだった?                 内部告発があるまでは,ひた隠しにして,やむなく公表した後でも,肝心の拳銃が 発見されるまでは…と,極めて慎重な扱いだった警察ではなかったか? マスコミも 警察に協力して,その報道は極めて控えめだった.                 それがこの事件ではどうだ.任意同行で,丸一日,中学生を缶詰にして取り調べて 自供させるや,即,犯人逮捕との記者会見である.社会の第一線に立って法の番人を 勤めていた警察官の自首には寛大であったのに….                 言ってみれば,これが警察とマスコミの基本姿勢なのである.マスコミは,所詮, 芸能体質のドンブリ勘定,善悪の判断など出来ない,幼稚で頭の弱いガキと同じだ. 言論の自由を振り回すが.言論の責任は取らない.                 マスコミは,松本サリン事件の教訓を,完璧に忘れ去っている.結果的に,反省は 建前であって,彼らの意識の中では『あれは成り行き上,仕方がなかったのだ』との 本音が幅を利かせている.だからここまで騒げる.                 既に,日本は,警察国家なのである.警察の発表は,そのまま最高裁判決の重みを 以て,世間に受け入れられている.天下の幼稚なるマスコミ様が,これを後押しして 短絡的論理を以て,カメラの前で騒ぎ続けている.                 犯人逮捕を,警察署の前から伝えた記者の後ろで,野次馬ドモがカメラに向かって Vサインをしていて,ひじょうに不快だったとの意見が飛び交っている.その姿こそ マスコミの姿勢そのものを,的確に象徴している.                 何度でも繰り返して同じことを言うが,任意同行に応じた中学生を一日缶詰にして いかつい刑事ドモが徹底して取り調べて,自供させた結果を,即座に,中継で伝える 安易な報道姿勢は,野次馬の姿と何処が違うのか?                 然も,マスコミの要請に応じて,いそいそとカメラの前に立って,明らかでもない 幻の事実を前提に,識者と称せられる社会の指導的立場に立つ者が,最高裁判決への コメントでもするかのように喋りまくっている….                 これを単純に追認するだけの裁判に,どれ程の重みがあるのか.裁判所は,自らの 権威が侵されている事実に,何処まで気づいているのか.もはや裁判は,形骸化した 儀式に過ぎない.裁きはマスコミが済ませている.                 それでも警察のマスコミの悪しき関係を断ち切ることは出来ない.既に現象として 存在しているものを消すことは出来ない.ただ,情報を受け取る側で『例によって, また狼少年マスコミが騒いでいる』とすることだ.                 彼らが,必死になって大騒ぎをしていても,誰もそれを見ようとしなければ,彼ら マスコミの影響力は無にできる理屈である.先に,少女愛の世界からも,コメントを 貰ったが,彼らの世界では,それが常識のようだ.                 つまり,少女愛の世界は,一般マスコミから,悪しき存在として認識されている. もはや,それを覆すことは出来ない.所詮,世間一般の常識と認識とは,その程度の ものである.少女愛の世界は,悟りの境地にある.                                        ** 悪魔 **       ・目次に戻る