冤罪のパターンでも似ている二つの事件

冤罪のパターンでも似ている二つの事件

 宮崎勤の事件とA少年の事件が似ているとよく言われる.それも,両方の容疑者を 真犯人と断定した上で,そのように評価される.然し,そればかりではなく,実は, 冤罪とする俺様の視点でも二つの事件は似ている.                 例えば,宮崎勤事件にしても,当初,容疑者は,大人の女を相手に出来ない男だが 自分の性欲を抑えきれずに,行きずりの幼女を車に誘い込んで,人けのない場所へと 運んで犯し,殺して遺体に細工をした事件だった.                 精神鑑定がどうのこうの言わず,連続殺人の容疑だけでも公判が維持出来た筈で, 何も,精神異常云々する必要はなかった.ところが何故か,彼の異常な言動ばかりが マスコミに流されて,単純な事件が複雑になった.                 神戸の事件も,当初から,明らかに学校に対する恨みが背景にあると考えられた. 然し,結果をみれば,学校には何の恨みもなく,ただバモイドオキ神への帰依とか? 訳の解らぬ動機に至って,精神鑑定へと移行した.                 二人の容疑者は,冤罪で仕立て上げられた犯人なるが故に,同じ経過を辿るのだ. 警察は,徹底して少年をマスコミの目から隠した.万一,彼がマスコミに向かって, 『俺は無実だっ!』なんて叫びでもしたら困る…?                 常識的な考えでは,異常な犯人だから,精神鑑定に時間を掛けて,出来るだけ長く 世間に出さない工夫をしたとも受け取れる.然し,俺様は,長く世間から隔離して, 冤罪の痕跡をなくす策略なのだと執拗に疑うのだ.                 今,世間の印象では,宮崎勤は完璧に死刑囚である.最高裁まで審理が続いた後, ようやく最終判決が出されて決まるのが現実だが,もはや彼が無実だとする判決は, 裁判所も世間の反発を考えると,とても出せない?                 A少年の場合,精神鑑定に執拗に時間を掛けて,成人に達するまで結論を延ばして 案外,刑事裁判に掛けられて死刑判決とか? 永山則夫への突然の死刑執行は,その 暗示を濃くする.つまりA少年に精神異常はない.                 宮崎勤の場合も,ありもせぬ精神異常を,敢えて,有りとして7年間も隔離した. 然し,結局,精神異常とは認めなかった.つまり,最初からないものを,有りとして 7年の歳月を間違いない真犯人への定着に使った.                 また,歳月が長引けば,当時の興奮も冷めて冷静になる.そこで冤罪が叫ばれても 当時の関係者は『何分にも古いことなので…,でも間違いなく犯人でした』と言えば それ以上追及はない.マスコミとて後ろめたい….                 未だにポツリポツリと出てくるA少年のワルさが,乏しい証拠を執拗にカバーして 徹底した極悪非道な犯人像への定着に利用されている.今の時点ですら,世間では, A少年を無実と信じる者など,まずいないだろう.                 このページを読んでいる人間とて,良くて半信半疑だろうし,ものは言いようで, どうとでもなるとか,冷やかに見ている者ばかりだろうと想像する.それだけ俺様の 中にある想念を,他人に伝えることは難しいのだ.                 俺様は宮崎勤の事件が冤罪だと7年前から感じた.そして今,再び全く同じ形態で 進行する冤罪かも知れぬ事件に遭遇した.共通する盲点として,容疑者を取り調べた 警察の発表を,マスコミは無条件で信用する点だ.                 宮崎勤事件では,第一審判決の中でさえ,これは無条件で信用されている.つまり 警察が,誰であろうと取り敢えず容疑者を逮捕して,それをマスコミに発表すれば, それがどんな内容であろうと何も疑われないのだ.                 例えば,中学3年生が幼なじみの小学生の首を斬って,自宅に保管して,二日後に 校門の前に晒したのだと発表しても…である.それを聞いた偉い学者さんたちさえ, したり顔で,そういう時代なのだと肯定するのだ.                 現場には,大量の血痕があった映像が全国に流されたが,ジャブジャブと洗われた 首から,果たしてそんな血が出るのか? それさえ振り返ってみようとしないのだ. 何故警察を疑わないのか? おかしいと思わぬか?                 加えて,特に,株式会社新潮社なる出版業者が何の権利があってか,この中学生を 徹底して,こき下ろして『こんなヤツが二年で出てきてたまるか』と,まるで『誰か 早く殺したらどうだ』とけしかけている雰囲気だ.                 未だ容疑者の少年は,家裁で何も容疑事実を確認された雰囲気もない.審判の前に 精神鑑定を受けているだけである.全ての報道機関がそういう現実をまるで無視して 警察発表に噂という尾鰭を付け加えて裁いている.                 マスコミが容疑者をここまで裁けるならば,もはや鑑別所も家庭裁判所も要らぬ. 警察が逮捕して,マスコミが裁いて,A少年を町に放り出せば,煽られた群集が彼を 間違いなく抹殺するだろう.それでいいのだろう?                 警察発表に全く疑いを持たない現在のマスコミ報道の姿勢が続く限り,今後,益々 冤罪事件は,増え続けるだろう.然も,その冤罪は決して明らかになることはない. 誰もそれを疑問に思わず当然としているだから….                                        ** 悪魔 **       ・目次に戻る