水陸両用モビルスーツ


ジオンが地球侵攻作戦を計画するに当たって、最も重視したのが海上・海中戦力であった。新兵器のMSも地上では宇宙ほどの戦果を期待できず、一方地表の7割を占める海はミノフスキー効果も加えると戦力の隠蔽・潜伏には最適であった。従って初期の侵攻作戦は海を中心にした戦略を立てていた程である。北米のキャリフォルニアベースをほぼ無傷で占領できたことなどから方針は変更されたが、海軍戦力が大きな比重を占めることに変わりはなかった。そのためジオンでは開戦前から入念な準備を進めており、投入されたマッドアングラー級、ユーコン級の潜水艦隊は連邦海軍を圧倒する性能を有し、文字通り七つの海を暴れまわった。

ジオン水陸両用MSの開発は、地上用MSとほぼ同時に進められており、やはりMS-06Cザクベースの改造という形で始まっている。しかし如何にザクが汎用性に富んだMSであっても、水中での使用には限界があり、改めて完全な新設計が起されている。多くは水中での抵抗を少なくするため強靭な構造と厚い装甲を持っている。推進システムには熱核水流ジェットが採用され、陸上でのジャンプ用に化学燃料ロケットを装備するものもあった。熱核水流ジェットは極めて航続距離が長く、水中移動を含む行動範囲は地上用MSとは比べ物にならないほど広い。

また多くの水陸両用MSは、宇宙用や地上用と比して強力なジェネレーターを搭載している。これは冷却に機外の水を利用する水冷式を採用しているためで、より高効率な冷却が可能となっている。なお、陸上では機内のバラストタンクに取り込んだ水を冷却水として使用しているため、陸上での活動時間は制限される。

しかし強力なジェネレーターを搭載している分、ビーム兵器の使用が可能となっている。水陸両用MSとして初の実戦モデルとなったMSM-03シリーズは連邦、ジオンを通じて初めてビーム兵器を装備したMSであった。その他の武装としては魚雷やミサイルなどが一般的であるが、特徴的なのはアイアンネイルと呼ばれる格闘戦用の爪である。超硬合金製の爪は大出力にものを言わせたアクチュエーターのパワーで空母の艦底すら容易に切り裂いたと言われている。また腕部はフレキシブルアームと呼ばれる多重関節構造で、生物的な独特の動きが可能であり、水中航行時の抵抗を軽減するため伸縮することもできた。

水陸両用MSの多くはマッドアングラー級、ユーコン級の潜水艦を母艦とし、ジオン地球攻撃軍の中核を担った。この事実は忘れられがちだが、連邦軍にとって最大の脅威は海中戦力だったのである。彼らはしばしば沿岸の連邦軍基地を強襲し、また海上の輸送路を寸断した。特にアフリカ沿岸を根拠地とした大西洋艦隊は猛威を振るい、大戦終結後もゲリラ化して長く抵抗を続けた。彼らがこうして活躍できたのはジオン潜水艦隊と水陸両用MS群が非常に優秀だったからであり、一方で連邦軍が有効な対抗策を打ち出せなかったことを証明している。


水陸両用モビルスーツ

MS-06M(MSM-01)

水中用ザク

MSM-02

水中試作実験機

MSM-03-1

プロトタイプゴッグ

MSM-03

ゴッグ

MSM-03C

ハイゴッグ

MSM-04X

プロトタイプアッガイ

MSM-04

アッガイ

MSM-04G

ジュアッグ

MSM-04N

アッグガイ

MSM-07

ズゴック前期型

MSM-07S

ズゴック後期型

MSM-07E

ズゴックエクスペリメント

MSM-08

ゾゴック

MSM-10

ゾック


ジオン公国軍

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MA

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