2002年ロードレースの新カテゴリー
   4st、2st混走の不思議?
 どなたか教えて!
2002年のロードレース世界選手権シリーズは今シーズンからレギュレーションが改定になり、排気量990ccまでの4ストロークマシンと500ccまでの2ストロークマシンが混走することになりました。従来の「GP1」(500t)クラスが、今年は「MotoGP」クラスとなり、4サイクルエンジンを搭載したマシンが走ります。

ホンダがV5、ヤマハ直4、スズキV4、アプリリアV2、と全て違ったエンジンレイアウトで参戦します。
しかも、カワサキの参戦予定もあるらしいとのことです。来年のフル参戦に向けて今年は柳川がスポット参戦するらしいです。
アプリリアはスーパー・バイクの実績で期待できますし、ヤマハの直4も手馴れたものでしょうが、おもしろいのはスズキ初のV4、Vバンク角が60°、それになんといってもホンダのV型5気筒でしょう。
2月4日ホンダは毎年この時期にレース活動の計画を発表するのですが、それによると

《ホンダ二輪参戦計画概要》MotoGPクラス(旧500ccクラス)には、新たに開発した4ストロークV型5気筒・990ccエンジン搭載のワークスマシンHonda RC211Vを2台投入し、MotoGPクラス初年度チャンピオンを目指す。

とのことで
 なんと、4ストロークV型5気筒・990ccエンジン!!。「新しいカテゴリーに打って出るにあたって」との池ノ谷ホンダ・レーシング代表取締役のお話では「新しいことにチャレンジしたい」というのが、開発者の思いであった。開発にあたっては当初、3気筒案、4気筒案、5気筒案があり、消去法で5気筒が残ったということです。3気筒をやるなら楕円ピストンをやりたかったが、これはすでに2輪で前例があるのでダメ。4気筒は当たり前すぎてダメ。5気筒は直列なら市販乗用車用エンジンで前例があるが、V型はやったことがないのでチャレンジすることにした、といういうのですが...。ホンダらしい?

 開発者は排気管の集合部分のレイアウトを試行錯誤して「楽しんでいる」というのですから、これもいかにも
ホンダらしい。
※ホンダのホームページのモータースポーツのページのなかにRC211Vの開発の記録が載っています。開発のテーマは「ホンダらしいか」とのことです。これはホンダらしい。
(※F-1のエンジンも頑張ってほしいです。“ホンダらしさ”でルノーに負けているのでは?)

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そんなわけですが、足立区の一部(西新井地方)では「2stの2倍もある4stが一緒に走るのは変じゃないか」「不公平ではないのか」というような話も出ています。どうなのでしょうか。下に簡単な図で2stと4stはどこが違うのか、あるいは同じなのか、ということを書いてみました。市販車では排気量で税金が変わりますが、2stはそんなところでオトクなのでしょうか。
どなたか、ハッキリ教えてください。

※レースでの排気量換算はこの他にも、昔ロータリー換算(たしか1.6倍だったような?)なんてありましたし、F-1でもターボ換算(NA3500tに対しターボ1500t)なんてのがありました。


【2サイクル・125t単気筒】【4サイクル・250t、360度クランク2気筒】エンジンはどこが違うのでしょうか?違わないのでしょうか。
どなたか教えて


わかり易くと思って簡単な図を書きましたが、簡単すぎるのと下手なのはご愛嬌。笑ってゆるして。
 左側が2st単気筒、右側が4st2気筒で、360度クランクのため2個のピストンが同時に上下しています。
行程の説明も実際より、かなりおおまかです。


1.【上死点】 2st、4st共に125t分の爆発が始まり、4stの右シリンダーでは排気が完了しました。
                        



2.【下死点】 2st は新しい混合気が排ガスを押し出して、圧縮が始まります。4stも右側の気筒の給気が終わり圧縮行程へ。
                         



3.【上死点】 2st、4st共に125t分の爆発が始まり、4stの左シリンダーでは排気が完了。
                          



4.【下死点】 2st は新しい混合気が排ガスを押し出して、圧縮が始まり、4stも左側の気筒の給気が終わり圧縮行程へ。
                        



と、いうようにピストンが上に行くたびに125tづつ爆発しています。
このように、2stは倍の排気量を持つ4stと同じだともいえるのです。また4stが単気筒250tの場合も上死点2回に1回の
爆発ですから、2stは2回爆発して125tX2回で250tと同じになるのです。
爆発のエネルギーが同じだとすれば、毎回爆発する2stエンジンの方が効率的ともいえますし、そのぶん燃料も沢山消費し
ますので同排気量の4stエンジンに比べ燃費が悪いのは当然ともいえます。
ただし燃費に関しては4stエンジンのようにチャンとした給排気のバルブ機構を持たないため(※2)、燃費に関してはもともと厳しい
ともいえます。ただしレーシング・エンジンならば低燃費でも高出力が得られればよいのですからOKです。

(※2)2stのレーシングエンジンのバルブ機構は4stエンジンに比べ機械的にはシンプルに見えますが、インジェクションのマネジ
メントはハード的にもソフト的にも非常にシビアなものでしょう。

1960年頃と違い、2stエンジンも水冷化やインジェクションの高度なマネジメントにより相当な進化をしてきました。うわさでは
500tで180馬力ともいわれ、それも近年では出力を上げるよりドライバビリティの向上に力を入れていると言います。
すごいと思っていましたが、500tで勘定すれば1リットルあたり360馬力でも、換算した1000tでの180馬力では、そう
たいしたことないともいえますね。
4stエンジンも進化していますから、今や1リットルあたり180馬力は市販車の範囲で、日本国内で市販されるバイクは最高出力
に自主規制がありますが、250t4st4気筒車をみますと’94年頃の40馬力規制の前はホンダのCBRもヤマハのFZRもみんな
45馬力でした。まさに1リットルあたり180馬力!
そうしてみると、4stエンジン車が990tまでというのは、ちょっと不公平なのかも?如何でしょうか。

というわけで?、2002年4stエンジンがGPを走るわけですが、
ホンダ、ヤマハは報道によるとかなり完成度が高いそうです。ロッシ、宇川とも各サーキットで500ccのコースレコードをあっさりと更新していますし、そればかりでなく昨年の500ccのタイムを上回るタイムでコンスタントにレースラップを走りきれる乗りやすさのようです。2st500ccよりも圧倒的にパワーが出ているので、直線での加速とトップスピードは比べ物にならないとのことです。

2st500tはホンダとヤマハが4気筒、プロトンKRが3気筒ということで2気筒エンジンは消えてしまったようです。
ホンダからはバロス、カピロッシ、加藤、原田、グールベルグがNSRで、ヤマハからは阿部、クリビーレ、中野、ジャック、マッコイ、ラコーニともう1人がYZRで参戦予定。昨年ブリヂストンのテストライダーとしてタイヤの開発テストをしていた青木宣篤がKRで参戦とのことです。


それにしても、今にして思うのはホンダが79年に2輪世界GPに復帰したときの「NR500」は4st500tで2st500tに挑んだのですからとんでもなく驚異的なマシンだったという訳ですね。



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