ビデオのコラム

 2003.02.17 映画は文化財か?ビデオは?
映画ビデオは文化財ではありません。
貴方の思い出の映画は、だれも大事にしていません。たぶん。

貴方の思い出の映画は、あなた自身でライブラリーを作ってください。映画のビデオは文化財ではありません。単に商品で「売れなきゃ終わり」の品物です。小さなレンタル屋に自分の見たい映画が無いからと言って苦情を言うのはお門違いです。運良くみつけた思い出の映画で、それがレンタルならば即コピーを作っておきましょう。

著作権などと製作者の権利の保護はPRされるようになり、社会の理解も生まれてまいりましたが、見せる側の“見せる義務”と言うものは無いようです。権利は保護されていても映画そのもが保護されているわけではないようです。どんなに名作でも「売れなきゃ終わり」です。廃盤となって通常二度と日の目を見ません。ビデオ・メーカーも商売ですから、仕方の無いことなのです。レンタル屋だって商売です。
※メディアがDVDに変わりつつある現在は廃盤復活のチャンスです。お見逃し無く!それでもいろんな理由で既に廃盤もあり、ご注意!。「バングラデシュのコンサート」はDVDで発売されましたが現在、既に廃盤です。

映画がとても好きになって、映画関連の書籍などを読むといろいろな映画の紹介があり、なかでも30年以上も前の映画とりわけ名作・名画といわれる映画になりますと、それはそれは熱い調子で書かれていて、映画のほかに楽しみが無かったのかとツッコミをいれたくなる程です。
でも、それ程いうなら観てやろうと思ったとき、都合よく映画館で上映していることはまず有りません。(「映画は映画館で観ましょう」などと無責任なことを言う映画評論家がいますが「新作映画は映画館で観ましょう」あるいは「映画館で観られるときは、映画館で観ましょう」に変えて貰いたい)
丁度、TV放送で放映してくれれば良いのですが、そんな都合の良いことは、なかなか有りません。
また、小説などを読んでいて物語の中で語られる映画や、映画の中の映画館で上映されていた映画に興味を持ったとき、これも映画館やTV放送で都合よく観られることは、まず有りません。
そこで、レンタル・ビデオ屋へ行くのですが、たとえ名作名画といえど、古い映画ですから置いてあるとは限りません。
限られた店内スペースですから、「古い映画」より「ドラえもん※2」のほうが商売では有効だったりするわけです。

カタログやインターネットで調べて、お金に余裕のある方ならば、廃盤でなければ購入して観ることも出来るのですが、名画といえど観たこと無いものを購入するのは勇気がいることです。普通はやはりレンタルで観て気に入ってから買いたいですね。
それでも、現在購入できるものなら良いですが、出来ない場合はどうでしょう。
何かの機会に思い出して、昔見た映画を是非また見たいと思ったとき、(一度もビデオ化されなかった映画では仕方が有りませんが)一度はビデオ化されたものの現在では廃盤になった。と言う場合、販売店で中古か新品の売れ残りを探すか、レンタル店の在庫を探して借りるかと言うことになるわけです。

では、レンタル屋に行けば有るかというと、これもムツカしいですね。
アップルが店長のPC道楽で、ホームページを作り、在庫テープの一部をリストアップし始めて2年以上が経ちました。最初、店長のお気に入りの映画を紹介するつもりで始めたページでしたが、メールによる問い合わせが、古い映画やある特定の映画に限られるようなので1年ほど前からは古い映画の在庫は出来る限りリストに加える方針に変えました。店番をしながらのリスト作りですから遅々としたものですが、旧作に関しては半分を越えたと思います。
そのせいか頂く問い合わせのメールも徐々に増えてまいりました。その多くが「近所のレンタル屋を探しても見当たらず、Netで検索してたどり着いた」というものです。
なぜ、ご近所のレンタル屋にないのかは以上のことでも、もうお分かりと思いますが、いかに名作名画でも1年以上も借りてのつかないものでは置いておく価値がないというわけです。ぴちぴちした若い娘を揃えておかないと、お客も来てくれなくなっちゃう(ナンノコッチャイ)ということです。

そして、さらに、おそろしいことですが、

最近買い取り業者の話で古い映画は買取のその場で廃棄処分されてしまうようなのです。ビデオレンタル店が廃業した場合は、在庫ソフトを買い取り業者に買い取ってもらうわけですが、そのとき古い映画(特に古い日本映画)は買取の数には入れても、その場で廃棄のほうに分類してしまうとのことなのです。持って帰っても売れないので是非もないとのことです。
また、ビデオはテープもディスクも不死身ではありません。借りた方が踏んづけて壊してしまうかもしれません。そうなると廃盤の場合、お店でも入手不可能ですし、廃盤でなくとも再仕入は困難です。
黒澤明作品「生きる」は世界的に有名な素晴らしい作品ですが、2002年に2度、2001年には1度といった具合で1年に数度しかレンタルされません。
この映画を仕入れたとき東宝へ払うレンタル使用料は当時18,000円、アップルのレンタル料は1回(7泊8日)350円ですから、回収できるのには何年かかるやら。このテープがダメになったらアップルでは再び仕入れることは出来ません。
このようにして古い映画はだんだんと世の中から無くなってゆくのでした。

ですから、自分でコピーをつくりましょう。
お店で、コピーを作ることは違法行為(海賊行為)ですから、出来ません。また、コピーを売ったり貸したりするのも海賊行為で、出来ません。
でも、ご自分がコピーを作って、人に貸したりせず、ご自分だけで楽しむ分には問題有りませんからOKです。

名作、名画といわれる映画でも、だれも大事に思っていません。というお話でした。

※2、アップルに「ドラえもん」は有りません。10年ほど前に片付けてしまいました。かわりに「フェリーニの道」や「ベルイマンの野いちご」などがあります。だから、アップルはいまにもツブレそうなのです。

「件名」は具体的に

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