お問い合わせのメールをいただきますが、取り急ぎ書く返信メールは
言い足らず、書き足らず、になりがちなので書き足し付け足しますので
ここで読んでいただけばと思います。(店長)

2000.8.11
Subject: 質問?
映画好きのコ―ナ―。上級者って何?(K)

西新井のアップルです。当店のホームページをご覧いただき有難う御座います。
店番をしながら作っているホームページなのでなかなかはかどらないページですが、よろしくお願いいたします。

 アップルのページ見てくださったようで、まことに有難うございます。

上級者向けなどといいましてもけっして初心者、中級、上級などと分けているつもりではなかったのですが。“物好き”言い換えてもいいような意味で使ってしまいました。と、また訳の判らないことを書きまして申し訳有りません。

ただ、極端にいえば、あらゆる芸術の表現に具象とその対極に抽象がありますね。映画は総合的な芸術作品ですから、たとえ大衆向け映画といわれるものでもいろいろな個所でインパクトやアクセントをつけるためいろいろな抽象的ともいえるテクニックも使って面白く見てもらう努力をしています。
それでも通常は商業的にも成功しなければならないわけですから、あまり難解なものはないはずです。
ただ映画によっては物語より、人間の内面や映画のテーマを描くことに重点をおいてイメージ描写の多用や時間の連続性を壊したりと、作り手が商業的なことはある程度度外視して出来る作品もあります。

公開されるものは、皆それなりに高い評価を得ていますのでマチガイはないのでしょうが、やはり人間には慣れというものがあってパソコンでもなんでも初心者と熟練した者とでは理解するのに差がでるのではないでしょうか。

そしてストーリー重視の娯楽作でも、たとえば小説ならば個人個人それぞれの速さで読むことが出来ますし、またサスペンスの部分とロマンスの部分を自分の想像力で好きなイメージを作りながら読むことも自由ですが、映画を観ることは既に作られた光や音のイメージを理解することですし、また受け取る速度も決められているわけですから、慣れや理解力の個人差で、映画作品の解釈や評価にも個人差がでると思います。

また、映画を楽しくしている要素のひとつにパロディやパクリなどといわれるものがありますが、これらはやはり、これまでにどれだけ多くの映画をみてきたか、で楽しさ面白さが増すわけです。

説明も抽象的でいまいち判りにくいかもしれませんが要は「上級者」というものがあるわけではなく「映画」を沢山見ている人、楽しみ方が判っている人と言うようなことです。
いまでは映画はビデオで何度も繰り返しみることが出来ます。1度目ではストーリーしかわからなっかたのが2度3度と見るうちに、とつぜん、映画のテーマが判ったり、4度5度と見るうちに俳優のしぐさや演技に好きなところが出来たり。ともかく、映画は理屈より、見ることが大事と思います。

もうひとつ見る人間に得意の分野というのがあります。趣味や仕事でよく知っていることとか、懐かしい場所が良く表現されている。とかこれは普段映画を見ない人でも理解することに関して上級者かもしれません。

ときとして運悪く見せられる、自分が行かなかった社員旅行のムービーや、よその家庭の家族や赤ちゃんのムービー。他人はちっとも面白くないのに、当事者たちは大うけにうけて、何度でも見てしまう。
こんな映画は「マニアック」に分類しています。見てみると自分は意外と当事者かも。

というわけで、とりあえず端から全部見てみてください。

メール有難う御座いました。ぜひ、またメールお願いします。

アップル店長 山本


<返信>
 見る側が,色々なチャンネルを持っていて,色々な楽しみ方が出来る事と解釈しました。(K)
追記

上にも書きましたが、映画はストーリーだけの作品では有りません。映像表現に込められたメッセージも理解しないと損します。好きな映画や好きになりそうな映画に出会ったら、ビデオを借りて何度も見てしまいましょう。理屈や能書きは要りません。出来が悪いと評判の映画でも俳優がお気に入りで大好きになっちゃうことだってあります。

ツッコミを入れるのが面白いようにハマル映画もあります。くだらないと思う映画はツッコミを入れましょう。何度も見て練習をして友達が来た時にやって見せましょう。映画館でやると怒られますが、自宅のビデオなら大丈夫。
(注)ハリセンでTVをたたいて壊してもアップルは責任を持ちません。

本に小説や評論、報道、解説書、等々有る様に映画にもそれぞれの分野の作品があります。また小説に推理、探偵、怪奇小説など大衆娯楽小説があり、一方純文学といわれる小説が有るように映画にも人生ドラマを描いた作品があります。楽しい作品ばかりではありませんし、悲しい結末の作品もありますが、先ず「名作」といわれる映画ならば古い作品でも、いえ、古い作品ならなおさら大勢が認めたものですから、今、俄かには良さが判らない作品でも、きっと私たちの心や人生にプラスになる何かを残してくれると思います。

永六輔さんが以前、といっても30年以上前のことですが、新内の「岡本文弥の会」を聴きに行っているとのことで「新内の魅力について」質問されたとき「今はその魅力がわかりません。でも、大勢の人が理解していることだから、自分も聞き続けていればきっと解る時が来ると思って、今聞いています」と答えておられました。
「自分に解らないのはクヤシイ」とも言われたようにも思いましたが、やはり何ごともこだわらずに見てみようということが大事ですね。永六輔さんはやはり名人ですね。



今話題の映画(ビデオ)ばかり見ているのでは実にもったいないことです。“新作”がレンタル中でも観るべきビデオは沢山あるハズです。「上級者」などという言葉はわすれて「お気に入りの映画」を探してください。

フェリーニの「」は素晴らしい映画です。皆さんに勧めます。
スピルバーグの「オールウェイズ」も素晴らしい映画です。皆さんに勧めます。
ベルイマンの「野いちご」も素晴らしい映画です。皆さんに勧めます。
ピエトロ・ジェルミの「鉄道員」も素晴らしい映画です。皆さんに勧めます。
タヴィアーニ兄弟の「グッドモーニング・バビロン」も素晴らしい映画です。皆さんに勧めます。
シドニー・ルメットの「十二人の怒れる男」も素晴らしい映画です。皆さんに勧めます。
ヴェンダースの「ベルリン・天使の詩」も素晴らしい映画です。皆さんに勧めます。
小津安二郎の「東京物語」も素晴らしい映画です。皆さんに勧めます。
黒澤明の「どですかでん」も素晴らしい映画です。皆さんに勧めます。
クレージーキャッツの「クレージーだよ奇想天外」は面白い映画です。皆さんに勧めます。

でも、おそらく今これらの作品を上映している映画館はありません。ビデオなら観ることが出来ます。
「映画は映画館で観ましょう」と言った映画評論家がいましたが、無責任です。「新作映画を...」に言い換えてもらいたいと思います。

新作映画はビデオを待たずに映画館でご覧になることを薦めます。劇場公開で映画会社が儲かれば、また良い映画を作るでしょうし、良い映画は何度観ても面白いのでビデオやDVDも良く売れるでしょう。劇場公開時に見逃した人でビデオやDVDを買わない人はレンタル屋に来て借りてくれるでしょう。


「件名」は具体的に

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