CDコレクション
私の好きなCD・<モーツァルト ピアノ・コンチェルト>
 CD購入の参考になるか、ならないかは、それぞれ好き好きがあるものなのでわかりませんが。
自分用のデータ・ベースにもなるのでまとめてみました。
私の好きなクラシックの演奏(モーツァルトだけでは有りません)は、いかに緊張感をもって音楽が美しく流れてゆくか、ということなのです。イージーリスニングにならずにロックにも負けない充実した緊張感、突き刺さるほど尖がった美しさ、ヘンな装飾を着けないピュアなサウンド。そんなわけでジョージ・セルやウィルヘルム・フルトヴェングラーやブルーノ・ワルターなどが好きなのです。

内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団盤は順番に録音されていますし、デジタル録音で音は明瞭、演奏も明快でどれを買っても概ね間違いないと思います。なにより新しいせいかどこのCD屋さんでも売っているというのが良いところでしょう。
この2曲づつ順番に録音されたCDを連続して聴いてゆくことも、1曲1曲の音楽世界の違いがとても興味深いものでした。また同時に、連続して聴くことは全体のおおきな流れのようなものも感じられる気もしましたので、そんな聴き方もお勧めします。

モーツァルトのピアノ協奏曲はどれも皆名曲といえるものでCDも多いのですが、人気がないのでしょうか第19番以前のCDの種類が極端に少ないのは弱ったものです。
小さなコンサートなどで演奏するのにうってつけな曲ぞろいで、もっと聞かれて良いと思いますのに。
ハスキル盤が廃盤になって、2001年10月現在チョイス出来るのは内田光子盤だけになっています。

昨今ではモーツアルトの研究もすすんできてフォルテ・ピアノなどの古楽器で演奏されたCDも多くなってきました。でも私は今聴くのには、こだわらないで良いと思っています。指揮者が変われば音楽が変わるように表現の幅はけっして狭くはないことだと思うからです。自分が聴いて「良い」と思うものが価値のあるもので、どんなエライ評論家が褒めても自分が聴いてつまらなくては価値のないものといえます。(研究者は別でしょうが)
食べ物と一緒で、本などの紹介記事が必ずしも自分の嗜好と一致するとは限りません。だから何枚も買うことになっちゃうんだよネ。

素朴に感じてしまうフォルテ・ピアノを聴くと、モダンピアノの演奏の中には装飾過多と思えるのも出てきたりして、いろいろ聴くとどれが良いのか分からなくなってしまうのですが、そこがまた聴き比べてみることの楽しみでもあるのです。

CD購入の参考としては、それぞれカップリングされた曲が共に良い演奏とは限らないのですが、このコラムでは私の好きな演奏ということでまとめました。
「好きなCD・モーツァルト」というコラムではCDごとの好き嫌いをまとめていますので、いざ購入というときはそちらもご覧下さい。


モーツァルト作品年譜
※古い資料からの抜粋なので目安程度にして下さい。
1756年
1月27日、ザルツブルグに生まれる。翌朝洗礼を受け、ヨアンネス・クリソストムス・ヴォルフガングス・テオフィールス・モーツァルトと名づけられる。ただし、父はテオフィールスの代わりにゴットリープと記し、本人はのちにアマデーウスを用いた。
父ヨハン・ゲオルク・レオポルト(1719生)の『ヴァイオリン奏法』が出版される。彼は1743年以来ザルツブルクの大司教宮廷楽団でヴァイオリン奏者を務め、作曲もしていた。1747年、同地の区裁判所判事の娘、アンナ−マリーア・ペルトル(1720生)と結婚。七子をもうけ、四番目の娘マリーア−アンナ(1751生)と末子のヴォルフガングとが成長。
◆プロシャとの間に7年戦争始まる

1757年(1歳)
父レオポルト、宮廷作曲家の称号を受ける。

1759年(3歳)
父は娘にクラヴィアの稽古を始める。ヴォルフガングは、鍵盤上に3度の和音を捜して遊ぶ。
◆ヘンデル没。
◆ヨーゼフ・ハイドン、第1交響曲を作曲。

1760年(4歳)
父について正式にクラヴィアの練習始める。一度耳にした小曲なら、どんな曲でも正確に表現豊かに弾きこなす。

1761年(5歳)
作曲を始め、自作を父に弾いて聞かせる。ヴァイオリンとオルガンにも上達する。
K.1a ピアノのためのアンダンテ ハ長調
K.1b ピアノのためのアレグロ ハ長調
K.1c ピアノのためのアレグロ へ長調
K.1d ピアノのためのメヌエット ヘ長調
K.1e ピアノのためのメヌエット ト長調
K.1f ピアノのためのメヌエット ハ長調

1762年(6歳)
父、姉と共に、1月12日から2月初旬にかけて、ミュンヘンに旅行。バイエルン選挙侯の宮廷で姉と共演。
ザルツブルグで作曲を楽しむ。
9月18日、一家でウィーンへ出発。フランツ一世の所望で鍵盤を覆ったまま演奏する。転んで助け起こしてくれた7歳のマリー・アントアネットに求婚したという、映画「アマデウス」(#12259)にも出てくる逸話はこの頃。
10月31日、聖ヴォルフガングの記念日に父より楽譜帳を贈られる。これはテレマン、エマヌエル・バッハ、シュミット他の当時の優れた練習曲集
父、宮廷楽団次席指揮者となる。
◆ミハエル・ハイドン、エーベルリンの後任としてザルツブルグ宮廷楽団首席指揮者に就任。
◆ルソー、「エミール」を著す。

K.2 ピアノのためのメヌエット ヘ長調
K.3 ピアノのためのアレグロ 変ロ長調
K.4 ピアノのためのメヌエット ヘ長調
K.5 ピアノのためのメヌエット へ長調

1763年(7歳)
1月帰郷。父のきびしい指導のもと、和声学と作曲法の勉強に夢中になる。6月9日、一家で仏・英へ向け出発。堂13日、ミュンヘンのバイエルン選挙侯の前でヴァイオリンを演奏。7月18日、シュヴェッツィンゲンで欧州最高のマンハイム管弦楽団の演奏を聴く。8月30日、フランクフルトでヴァイオリン協奏曲を弾く。14歳のゲーテも聴衆の一人として魅せられる。姉弟は各地で絶賛を得、11月18日パリ着。ヴェルサイユで再度演奏、公開大演奏も2回行う。グリム驚嘆して「通信」でこれを広める。

K.9a(5a) ピアノのためのアレグロ ハ長調
K.9b(5b) ピアノのためのアンダンテ 変ロ長調
K.6 ピアノ・ソナタ ハ長調
K.7 ピアノ・ソナタ ニ長調
K.8 ピアノ・ソナタ 変ロ長調

1764年(8歳)
4っつのピアノ・ソナタを出版。ヴィクトワール王女とテッセ伯夫人に2曲づつ献じる。4月23日ロンドン着。滞英中3度宮廷で演奏。6曲のソナタを自費出版して女王に献じる。6月26日、慈善音楽会でヘンデルのオルガン曲を弾く。父親によれば、この頃既にあらゆる形式に必要な和声を知り尽くす。
クリスチャン・バッハに親しく接する。シュミット、アーベルの作品に学ぶ。マンツォーリからオペラ熱を吹き込まれる。クラリネットに愛着を持つ。ブルカルド・チューディの新楽器ピアノの発表会を行なう。

K.9  ピアノ・ソナタ ト長調
K.10 ピアノ・ソナタ 変ロ長調
K.11 ピアノ・ソナタ ト長調
K.12 ピアノ・ソナタ イ長調
K.13 ピアノ・ソナタ ヘ長調
K.14 ピアノ・ソナタ ハ長調
K.15 ピアノ・ソナタ 変ロ長調
K.追加 109b 42の小品“ロンドン小品集”(ほとんどピアノ曲)
K.16 交響曲 第1番 変ホ長調

1765年(9歳)
初めて交響曲を完成、2月21日それらの披露演奏会を開く。
8月1日イギリスを立ち、オランダへ向かう。途中、リールで父と共に喉頭炎を病み、4週間を過ごす。
9月11日ハーグ着。こんどは姉が危篤。さらにヴォルフガングも腸チフスにかかる。同地でヨーゼフ・ハイドンのソナタを知る。

K.追加 220(16a) シンフォニア イ短調
K.19 交響曲 第4番 ニ長調
K.追加 223(19a) シンフォニア ヘ長調(断片)
K.追加 222(19b) シンフォニア ハ長調
K.21 (19c) 詠唱(T)“怒りに燃えて” テノール歌手チプランディに
K.-(19d)連弾用ピアノ・ソナタ ハ長調
K.20 四部合唱“神はわが頼み”(詩篇第46章より)ト短調
K.追加 206(21a) ピアノ変奏曲 イ長調
K.22 交響曲 第5番 変ロ長調
K.23 詠唱(S)“誠実に身を守り” オランジュ公妃に

1766年(10歳)
1月下旬ハーグ及びアムステルダムで演奏。再びハーグへ戻り、3月11日、オランジュ公叙任式に列席、妹公妃に6曲のソナタなどを献呈。4月中旬同地を出発。アムステルダム、ウトレヒト、ロッテルダムで演奏しながら、5月10日パリのグリム邸へ着く。パリ滞在中の作曲はキリエ1曲のみ。もっぱらフランス音楽を学ぶ。7月10日パリを立ち、スイスを回る。各地で好評。11月8日ミュンヘン着。選挙侯の食事中、即興曲に依頼に造作なく応える。ここで過労のため病床につく。11月30日、3年半ぶりにザルツブルクへ帰る。この頃、毎晩寝る前に自作の歌を父に聞かせる。

◆ヨーゼフ・ハイドン、エステルハーツィー公の楽長に就任。
◆ショーベルトのソナタ集、パリで出版される。

K.24 8っのピアノ変奏曲
K.25 7っのピアノ変奏曲
K.26 ピアノソナタ 変ホ長調(オランジュ公妃に)
K.27 ピアノソナタ ト長調(オランジュ公妃に)
K.28 ピアノソナタ ハ長調(オランジュ公妃に)
K.29 ピアノソナタ ニ長調(オランジュ公妃に)
K.30 ピアノソナタ ヘ長調(オランジュ公妃に)
K.31 ピアノソナタ 変ロ長調(オランジュ公妃に)
K.32 わけのわからぬ音楽 ヘ長調(オランジュ公に)
K.33 キリエ ヘ長調
K.33b ピアノ小品 ヘ長調
K.追加199(33d) ピアノソナタ ヘ長調
K.追加200(33e) ピアノソナタ 変ロ長調
K.追加201(33f) ピアノソナタ ハ長調
K.追加202(33g) ピアノソナタ ヘ長調
K.36(33i) 叙唱“いまや義務のとき”詠唱“ジギスムントの功績は”

1767年(11歳)
大司教、大学、町の金持ちなどから注文殺到。3月12日オラトリオ(K.35)を、5月13日ラテン語喜劇(K.38)をそれぞれ初演。この頃、ミハエル・ハイドン、エーベルリンの作品に親しみ、フックの教本から対位法を学ぶ。また、ラウバッハなどのソナタをピアノ協奏曲に編曲する。9月11日、再び一家でウィーンに向かう。皇女マリーア・ヨゼファの婚儀に際し、宮廷へ伺候の機会を狙ったがたまたま流行の天然痘で皇女は急逝。同26日オールミュッツへ難を避けたが、姉弟あいついで感染。年末ようやく回復する。

K.34 聖ベネディクト祭の奉献歌“天の住居に登れ” ハ長調
K.35 オラトリオ“第一誠律の債務”
K.42(35a) 葬送曲(パッション・カンタータ)
K.37 ピアノ協奏曲 ヘ長調
K.38 ラテン語喜劇 “アポロとヒアシンス”序曲と1幕9曲
K.39 ピアノ協奏曲 変ロ長調
K.40 ピアノ協奏曲 ニ長調
K.41 ピアノ協奏曲 ト長調
K.67(41h) 教会ソナタ(オルガン協奏曲) ト長調
K.68(41i) 教会ソナタ 変ロ長調
K.69(41k) 教会ソナタ ニ長調
K.76(42a) 交響曲 ヘ長調
K.43 交響曲 第6番 ヘ長調
K.追加24a(43a) 二重唱(S)“ああ、なんたる知らせか”

◇と言うわけで、11歳になりピアノ協奏曲を作曲するところまできました。この続き、12歳からはこのページの後半へ。つづく。

順番に表にしましたがNo.1からNo.6、は未だ買っていません。
複数あるCDは上から好きな順、またはよく聴く順になっています。
第1番ヘ長調K.37 1767年4月ザルツブルグ
第1番から第4番は、3年半にわたる演奏旅行から帰ったモーツァルトが、ヨハン・クリスチャン・バッハの指示で当時の作曲家のピアノ・ソナタをピアノ・コンチェルトに編曲したもの、といわれている。モーツァルト11歳の作品。
第1楽章ラウパッハのソナタ第5番より
第2楽章作者不明
第3楽章ホナウァーのソナタより
第2番変ホ長調K.39 1767年6月ザルツブルグ
第1楽章ラウパッハのソナタ第1番より
第2楽章ショーベルトのソナタより
第3楽章ラウパッハのソナタ第1番より
第3番ニ長調K.40 1767年7月ザルツブルグ
第1楽章ホナウァーのソナタより
第2楽章エッカルトのソナタより
第3楽章エマヌエル・バッハ「音楽の雑章」より
第4番ト長調K.41 1767年7月ザルツブルグ
第1楽章ホナウァーのソナタより
第2楽章ラウパッハのソナタ第1番より
第3楽章ホナウァーのソナタより
三つのピアノ・コンチェルトK.107 1772年
第5番ニ長調K.175 1773年12月ザルツブルグ
モーツァルトの実質的、最初のピアノ・コンチェルト
第6番変ロ長調K.238 1776年1月ザルツブルグ
二十歳のモーツァルトが第9番までを約1年で作曲。急成長。
第7番(3台のための)ヘ長調K.242 1776年2月ザルツブルグ
ザルツブルグの貴族ロードロン伯爵家の夫人と二人の令嬢のために作曲されたといわれる。

#POCL−5291 アンドラーシュ・シフ(P1)、ダニエル・バレンボイル(P2)、ゲオルグ・ショルティ(P3と指揮) /イギリス室内管弦楽団
1989.6.18ジャクリーヌ・デュ・プレ記念基金アピール・コンサートの組み合わせだが、録音は前日16,17日にウォールサムストー・タウン・ホールにて収録。
3台のピアノのかけあいで、楽しい音楽にできると思うのですが、ちょっとリキが入り過ぎているように思います。スケールも大げさにせずとも、室内楽的で良かったろうにと思いました。音質はクリアで良いのですが、3台のピアノは右、左、中央にハッキリ分けて(昔のステレオ風に)録音されていたほうが、楽しかったと思います。
他に選択肢があまり無く(2001年10月現在)、内田盤もバラ売りでは買えない状況です。
第8番「リュッツォウ」ヘ長調K.246 1776年4月ザルツブルグ
リュッツォウ伯爵夫人のために書かれた。

#POCL-9430 ヴラディーミル・アシュケナージ(P)、イシュトヴァン・ケルテス/ロンドン交響楽団

#PHCP1627 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団
第9番「ジュノーム」変ホ長調K.271 1777年1月ザルツブルグ
とてもチャーミングな作品なので、若い番号の中では演奏されることも多く、CDも数種類出ている。パリ旅行の前にザルツブルグへやって来たフランスの女流ピアニスト、ジュノーム嬢のために書かれたという。
@内田光子盤はちょっと演奏がシッカリし過ぎている気がして第8番・第9番ではアシュケナージ盤の方が好きです。

#POCL-9430 ヴラディーミル・アシュケナージ(P)、イシュトヴァン・ケルテス/ロンドン交響楽団

#PHCP1627 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団

#SRCR−9884 ルドルフ・フィルクスニー(P)、ジョージ・セル/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(1958)
第10番(2台のための)K.365 1779年1月ザルツブルグ
1777年の秋にザルツブルグの大司教から逃れるための旅に出るが、職は得られず、パリでは母を亡くす。1年半の旅は失敗に終わりザルツブルグに戻る。

#POCL−5291 ダニエル・バレンボイル(P1)、ゲオルグ・ショルティ(P2と指揮) /イギリス室内管弦楽団
1989.6.18ジャクリーヌ・デュ・プレ記念基金アピール・コンサートの組み合わせだが、録音は前日16,17日にウォールサムストー・タウン・ホールにて収録。
2台のピアノのかけあいで楽しい音楽にできると思うのですが、ちょっとリキが入り過ぎているように思います。スケールも大げさにせずとも、室内楽的で良かったろうにと思いました。音質はクリアで良いのですが、2台のピアノは右と左にハッキリ分けて(昔のステレオ風に)録音されていたほうが、楽しかったと思います。
他に選択肢があまり無く(2001年10月現在)、内田盤もバラ売りでは買えない状況です。
ロンド ニ長調K.382 1782年3月ヴィーン
1773年のK.175第5番を1782年に演奏する際に終楽章を「コンサート・ロンド」に取り替えたというもので、明るく華やかで可愛らしい作品です。

#PHCP−9004 アルフレッド・ブレンデル(P)、サー・ネヴィル・マリナー/アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ
第11番ヘ長調K.413 1782−83年ヴィーン
1781年にザルツブルグと決別し、憧れのヴィーンでピアニストとしてデビュー。
モーツァルトが父親に宛てた書簡から「ウィーンで喝采を浴びるためには、中身がからっぽなものを書く必要があります。馭者にも歌えるようなたぐいの音楽です」
「2つの協奏曲(No.11,12)には猛烈に難しい部分とひどく易しい部分とが混じり合っています。素晴らしい傑作で、耳になじみやすく空虚にならずに自然です。あちこちにうるさ方も満足させるような仕掛けがありますが、しろうとでも知らず知らずのうちに嬉しくなる様な音楽です」
エリック・スミス氏の解説抜粋「K.413は控えめで、独奏部はそっと寄り添うように現れ、おじぎをするように終わる」

#PHCP-1628 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団
第12番イ長調K.414 1782年秋ヴィーン
11番より先に作曲されたであろうという12番。恩師ヨハン・クリスチャン・バッハの訃報を受けて書かれた哀悼の曲といわれる。
エリック・スミス氏の解説抜粋「K.414の主題はモーツァルトの音楽のまさに精髄である。アンダンテ(2楽章)の美しい旋律はJ.S.バッハが1763年に書いた「愛の災難」から取られている」

#PHCP-1628 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団

こんなに愛らしい曲なのにCD録音が少ないのは不思議。
ロンド イ長調K.386 1782年10月ヴィーン
第13番ヘ長調K.415 1783年ヴィーン
モーツァルト27歳。この予約演奏会には皇帝ヨーゼフ二世も臨席

#PHCP−1629 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団

#437ー676−2(独グラムフォン)、(LP:MH-5057) クララ・ハスキル(P)、ルドルフ・バウムガルトナー/ルツェルン祝祭管弦楽団
CD盤は第20番のカップリングですが、LP盤では第13番がメインでオマケに「ピアノ・ソナタ:へ長調K.280」と「きらきら星の主題による変奏曲ハ長調K.265」が付いていました。
第14番変ホ長調K.449 1784年2月ヴィーン
第17番と共にザルツブルグの高官の娘バーバラ・フォン・プロイヤーの依頼で書かれた曲。

#PHCP−1629 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団
第15番変ロ長調K.450 1784年3月ヴィーン
この曲の第3楽章からフルートが独奏楽器として登場。以後、弦楽器だけでなく木管楽器との掛け合いが聴けることに。

#PHCP1630 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団

(LP:GT-9085) レナード・バーンスタイン(P&C)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「交響曲第36番リンツ」のB面に入っていました。
第16番ニ長調K.451 1784年3月ヴィーン
モーツァルトがヴィーンに来て2年、予約演奏会の成功でピアニスト兼作曲家として大人気。モーツァルトの絶頂期。
このNo.16から19までの四曲で第1楽章の最初の部分に同じリズムをモチーフとして使用している。...といわれてます。

#PHCP1630 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団
第17番ト長調K.453 1784年4月ヴィーン

#PHCP−1631 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団
このCDにはK.452「ピアノと管楽のための五重奏変ホ長調」とK.452の「断章」K.452aが収録されています。「これはピアノ協奏曲とあえて並べて収録する意味のある、特別な作品なのである。」とライナーに書かれています。そうなのでしょうが、演奏はチョッと。モーツァルトらしい流麗さが少ないのは歴史にこだわりすぎたのでしょうか。残念。
第17番は相変わらず素晴らしい。

(LP:MO-1026) フリードリッヒ・グルダ(P)、パウル・アンゲラー/フリードリッヒ・グルダ管弦楽団
この第17番がA面で、B面にはベートーベンのピアノ協奏曲第2番が収録。
第18番変ロ長調K.456 1784年9月ヴィーン
父親のレオーポルトがアマデウスの姉のナンネルに送った手紙によると盲目の女流ピアニスト、マリーア・テレージア・フォン・パラディースのために作曲したとある。

#PHCP1627 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団

(LP:SOCU-53) ロベール・カザドシュ(P)、ジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団
第19番「第2戴冠式」ヘ長調K.459 1784年12月ヴィーン
皇帝レオーポルト二世の戴冠式の際、フランクフルト・アム・マンハイムでの演奏会に第26番と共に演奏されたので「第二戴冠式」と呼ばれることもある。

#PHCP1627 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団

#SRCR-8465 ルドルフ・ゼルキン(P)、ジョージ・セル/コロンビア交響楽団(1968)
構成に大きさを感じる曲なので演奏はゼルキン/セル盤と思うが、録音は内田盤。

(LP:PC-1586) イングリット・ヘブラー(P)、コリン・デイヴィス/ロンドン交響楽団
オマケ(B面)が魅力的で「幻想曲ハ短調K.475」「ピアノ・ソナタNo.14ハ短調K.457」
を収録。

第20番ニ短調K.466 1785年2月ヴィーン
モーツァルトが好きで、中でもピアノ・コンチェルトが好きで、そして短調の曲第20番(第24番も好き、シンフォニーの第25番・第40番も好き)が特に好きなのでした。人気のある曲なのでリリースされた数も多いし、買ったCD・LPも多いのですが(好きなので雑誌などで褒めちぎっていたりすると欲しくなってしまう)結局、未だに1960年代前後に録音されたものに気持ちが動かされてしまうのは、人間が古いためでしょうか。

#TOCE−7160 (LP:AA8277)エリック・ハイドシェック(P)、アンドレ・ヴァンデルノート/パリ音楽院管弦楽団
フルトヴェングラー/ルフェビュール版がMy Bestなのですが、その深刻さゆえに聴くとドッと疲れてしまうので普段用(?)のベストがこのCDですが、この関係はアナログLP時代から変わっていません。というよりフルトヴェングラー/ルフェビュール盤はCDになって音質がきわめて劣悪になってしまった為、CDだけならこちらが真のベストかも。1962年のステレオ録音ですがCDになっても音質は良く、深刻にならない20番。今のところ一番美しい20番だと思います。

#CDE-1015LP:AB8125)イヴォンヌ・ルフェビュール(P)、ウィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィル
1954年の実況録音(モノラル)だがLP盤の音質はけっして悪くなく、文句無くマイベストなのだったのですが、CD盤の音質は甚だしく悪いので今ではめったに聴きません。
このLP盤は、聴くときには、(聴くと)ともかく疲れるので、体調の良いときに、トイレをすませ水分を補給したりして聴く体制を整えてから聴くのですが、聴き終わるとぐったりとしてしまうほどの充実感は、価値ある1枚と思っています。

CDで音楽を聴くようになって、LP時代にお気に入りのものを買い換えたりしましたが古いものは概して音質が悪くなりました。
カザルスやフルトヴェングラーなどのモノラル盤はひどいものがあって、私が比べられる範囲でも多いのですから、全体ではもっと劣悪な状況なのでしょう。
これはCDが悪くなった(悪い音質・音源をそのままリリース)こともあるでしょうが、LP時代にはカートリッジ、トーンアーム、ターンテーブル、モーターなどのメーカーは勿論アンプやスピーカーのメーカーも良い音で音楽が聴けるように頑張っていたと思います。今は特性や帯域の数字だけにこだわっている気がします。
カートリッジやスピーカーは音の違いが顕著で換えてみる喜びもありました。
CDプレーヤーはどうなのでしょう。D/Aコンバーターをとっかえひっかえという話はあまり聞きませんが...。プレーヤーがどうにもならないならCDのメーカーに頑張ってほしいものです。

ルフェビュールさんは当時50歳のフランスの女流ピアニストですが、このLPを聴くまで知りませんでした。LP盤のB面はディヌ・リパッティのピアノ(バッハの衆讃前奏曲など3曲、ブラームス円舞曲抜粋)が入っていました。CD盤ではモーツァルトの交響曲第40番(1949年録音)が入っていて、これはこれでお得なのですが、おッ、音質が...。

#437-676−2(独グラムフォン) クララ・ハスキル(P)、フリッチャイ/ベルリンRIAS-SO
#412-254-2 クララ・ハスキル(P)、イーゴリ・マルケヴィッチ/コンセール・ラムルー管弦楽団
マルケヴィッチとの録音盤より、若いクララ・ハスキルのフリッチャイ盤のほうがいばったところが無く、女性らしくデリケートで好き。ジャケットがとっても素敵なせいも。
(LP:FG-211) クララ・ハスキル(P)、ベンハルト・パウムガルトナー/ウィーン交響楽団
#SRCR-8465 ルドルフ・ゼルキン(P)、ジョージ・セル/コロンビア交響楽団(1961)
録音されたのがクリーヴランドだからオケはクリーヴランド管弦楽団だと思う。聴けばわかる素晴らしさ。コンチェルトではバランスの絶妙なセルさんのオケですが、ゼルキンさんは若さが足りなかったかも。

#416-381-2 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団
音質も良いし、悪いところナシ。演奏は(ハイドシェックと比べれば)もったいぶって聞こえるが、静かな部屋で聴けば吉。

#PHCP−9244 ジョン・ギボンズ(フォルテピアノ)、フランス・ブリュッヘン/18世紀オーケストラ
1795年頃作られたフォルテ・ピアノによる演奏で、最初深刻さよりのどかさを感じてしまうが、何度か聞くにつれて良くなっていく。カップリングの24番も同じ。最初ヘンだけどだんだん良くなる?。音のバランスは録音のせいかピアノが弱い。

#POCL−9417
 サー・クリフォード・カーゾン(P)、ベンジャミン・ブリテン/イギリス室内管弦楽団
定番というのかお手本というか、ガイド本の多くがすすめる名演奏。私には健全すぎる感じ。

#PHCP−9004
 アルフレッド・ブレンデル(P)、サー・ネヴィル・マリナー/アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ
このCDの良いところはオマケにK.382コンサート・ロンドが入っていることでしょう。1773年のK.175第5番を1782年に演奏する際に終楽章を「コンサート・ロンド」に取り替えたというもので、明るく華やかで可愛らしい作品です。

#POCG-7017 フリードリッヒ・グルダ(P)、クラウディオ・アバド/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

#FOOL−23024
 ヴラディーミル・アシュケナージ(P&C)フィルハーモニア管弦楽団

#SRCR-9272 マレイ・ペライア(P&C)イギリス室内管弦楽団

#POCL−5291 ゲオルグ・ショルティ(Pと指揮) /イギリス室内管弦楽団
K.242とK.365のCDを買うと同時に収録されているK.466。オマケというにはあまりにリッパなオマケですが、私にとってはやはりオマケでした。ショルティ・ファンはどうぞ。

(LP:13AC-391) リリー・クラウス(P)、スティーヴン・サイモン/ウィーン音楽祭管弦楽団

(LP:SOCU-53) ロベール・カザドシュ(P)、ジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団
第21番ハ長調K.467 1785年3月ヴィーン
No.22まで9ヶ月も予約演奏会の間があくのはオペラの作曲に力を入れるためで、情感のあるメロディが多くなるのはそのためか。
第2楽章の第1主題は映画音楽にも使われたくらいで、ポピュラー音楽のような気になるのか演奏にテレがあってことさら難しく(つまらなく)演奏することもあるようですが、安っぽくなってもいけないのでバランスの難しい曲だと思います。
そんなことで、この中では内田光子盤が最良だと思います。

#416-381-2 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団

#POCG-7017 フリードリッヒ・グルダ(P)、クラウディオ・アバド/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

#FOOL−23024
 ヴラディーミル・アシュケナージ(P&C)フィルハーモニア管弦楽団

(LP:13AC-391) リリー・クラウス(P)、スティーヴン・サイモン/ウィーン音楽祭管弦楽団

(LP:FG-304) アンネローゼ・シュミット(P)、オトマール・スウィトナー/ドレスデン国立管弦楽団
ジャケットが美人なので(?)音楽も美しいのではないかと...。B面のオマケはイングリット・ヘブラーさんの弾くピアノ・ソナタNo.11<トルコ行進曲つき>
第22番変ホ長調K.482 1785年12月ヴィーン
第2楽章のアンダンテは「悩みのアリア」といわれる。
1785年あたりからオーケストラ編成にクラリネットが加わり、以後どんどん重要な楽器となってゆくのはボヘミアンのクラリネット奏者アントン・シュタートラーとの出会いから、といわれている。

#420-187-2 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団
音質も良いピアノも美しいけど、オーケストラのパートが元気良すぎかも。

#25DC5203 ロベール・カザドシュ(P)、ジョージ・セル/コロンビア交響楽団(1958)
アナログ的なサウンドの美しさ。第2楽章のアンダンテはさすがにセルが上。ピアノとオケが自然に絡み合う。オケはコロンビアと書いてあるけど実はクリーブランドかも?。


※コロンビア交響楽団はブルーノ・ワルターさんの演奏をステレオで残そうと結成されたオケだそうですが、ほとんどニューヨーク・フィルのメンバーで構成されていたそうです。ときにはまんまニューヨーク・フィルでもレコード・ジャケットにはコロンビア響と書かれたそうです。
第23番イ長調K.488 1786年3月ヴィーン
No.24と同時期に書かれた美しい音楽。予約演奏会の音楽も1985年からの作品ではモーツアルトの自己の表現が多くなり、ウィーン市民の理解を超える音楽は予約演奏会の人気を衰退させることにもなりました。そこでNo.23では再びウィーンの聴衆が理解でき喜ぶ曲を作曲しようと試みたのでした。

#TOCE−7160(LP:EAC-30164) エリック・ハイドシェック(P)、アンドレ・ヴァンデルノート/パリ音楽院管弦楽団
スピードがモーツァルト。流れが自由に変化する美しさ。総合的にNo.23のベストと思う。カザドシュ/セル盤といっしょで「どんな感じだっけ」と聞き出すと最後まで聞いてしまう。

#420-187-2 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団
デジタル録音の音質がとても良く、第2楽章もとても美しい。オケも元気過ぎない。

#25DC5203 ロベール・カザドシュ(P)、ジョージ・セル/コロンビア交響楽団(1958)
第2楽章のアダージョはさすがにセルで、美しい。

#230E−51098
 サー・クリフォード・カーゾン(P)、イシュトヴァン・ケルテス/ロンドン交響楽団(1968)
演奏は良いのだが、サウンドに魅力がない感じ。こもった様な音質が残念。

#FOOL-23042
 ヴラディーミル・アシュケナージ(P&C)フィルハーモニア管弦楽団

(LP:FG-211) クララ・ハスキル(P)、パウル・ザッヒャー/ウィーン交響楽団
演奏はとても良いと思うのですが、音質が悪いせいか。
第24番ハ短調K.491 1786年3月ヴィーン
ウィーンの聴衆にも理解できるようにと作ったNo.23でしたが、モーツァルトの音楽世界はどんどん広がり、大きく、深くなってゆくのでした。フル・オーケストラで作られたこの曲はやはり当時の聴衆の理解を超えていたのでしょう。No.25の予約演奏会は行われず、このNo.24が最後となったのでした。
同じ短調の曲でも第20番と比べると、いきなり暗いし、暗いまんまなので曲は名作だけれど、これからモーツァルトのピアノ・コンチェルトを聞こうという人には別のからどうぞ、と言いたくなる作品だと思う。
モーツァルト・ピアノ・コンチェルト全体で、第19番までがプロローグで、第20番から本編が始まり第27番で大団円、という大きなドラマでは中盤のクライマックスで大事なところ。

#422-331-2 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団
くせのない美しい演奏で音質も良い。

#SRCR-8924 グレン・グールド(P)、ワルター・ジュスキント/CBC交響楽団
最初の、人を不安にさせるような旋律も映画音楽のようにそれらしくやっているし、グールドのピアノは何度聴いても、すぐまた聴きたくなるのでMy Best。

#412-254-2 クララ・ハスキル(P)、イーゴリ・マルケヴィッチ/コンセール・ラムルー管弦楽団

#PHCP−9244 ジョン・ギボンズ(フォルテピアノ)、フランス・ブリュッヘン/18世紀オーケストラ

#230E−51098 サー・クリフォード・カーゾン(P)、イシュトヴァン・ケルテス/ロンドン交響楽団

#PHCP−9004 アルフレッド・ブレンデル(P)、サー・ネヴィル・マリナー/アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ


#FOOL-23064 ヴラディーミル・アシュケナージ(P&C)フィルハーモニア管弦楽団

#SRCR-9272 マレイ・ペライア(P&C)イギリス室内管弦楽団
第25番ハ長調K.503 1786年12月ヴィーン
壮大で華やかなオーケストラ・パートで始まり、その後も色彩の変化を意識した転調を繰り返しながら音楽は大きくなってゆく。そしてピアノはあくまでデリケート。この時期のモーツァルトの頭のなかはオペラでいっぱいだったのではないでしょうか。
内田盤を聴くとNo.24とNo.25が連続して入っているので、No.24の第1楽章で始まってNo.25の第3楽章でフィナーレとなる感じで納得してしまうのでした。

#422-331-2
 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団
この内田盤はNo.24の続きとして聞こえてくるので、二つの曲の繋がりがよくわかる。音質も良いし、もちろん美しい。

#419-479-2 フリードリッヒ・グルダ(P)、クラウディオ・アバド/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
なぜか、うるさく聞こえてしまう音質で、あまり聴かなくなってしまった。わたしのステレオと相性が悪いのか。

(LP:EAC-30164) エリック・ハイドシェック(P)、アンドレ・ヴァンデルノート/パリ音楽院管弦楽団
第26番「戴冠式」ニ長調K.537 1788年2月ヴィーン
1788年おそらく予約演奏会のために作曲されたが演奏会は行われなかったためお蔵入りになっていたものを、1790年にフランクフルトで行われたレオポルド2世の戴冠式の演奏会のためにモーツァルト自身がオーケストラ編成を大きくしてより華やかに変えて演奏された。

#PHCP−1636 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団

#25DC5204 ロベール・カザドシュ(P)、ジョージ・セル/コロンビア交響楽団

#FOOL-23064 ヴラディーミル・アシュケナージ(P&C)フィルハーモニア管弦楽団

(LP:FG-227) イングリット・ヘブラー(P)、コリン・デイヴィス/ロンドン交響楽団
第27番変ロ長調K.595 1791年1月ヴィーン
モーツァルトはこの年、1791年12月5日に死ぬのですが、この頃のモーツァルトとといえば借金と妻の病気、自身の体調の不良がかさなってどんどんひどい状態になって行くのですが、そんな中でこの「P.conNo.27」も「魔笛」も「クラリネット協奏曲」も「レクイエム」も出来上がるのです。本などには「よくこんな時期に透明で澄んだ心境になって作曲できたものだ」などとかかれています。そこが天才たるところなのでしょう。
私なども借金と体調不良は一緒なのですが(妻がいたって元気なせいか)一向に澄んだ心境になどなりそうになく、世の中を呪い、グチばかりの毎日です。いけませんネ。
そういう時には、モーツァルトを聞いて心を清めねばなりません。
そんなNo.27のCDですが、音楽がすごいのでしょうか。どれを聞いてもそれぞれ素晴らしいのです。ただ音質には少しづつ違いが。

#419-479-2 フリードリッヒ・グルダ(P)、クラウディオ・アバド/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
これは輸入盤なのですが、ピアノ、オケとも音の質が透明感と深みのある感じがして、とても印象深い。No.27のベストかも。ところがカップリングのNo.25はオケの音がうるさい感じでチョット、マイナス。No.27はなぜかうるさくない。微妙?。

#25DC5204 ロベール・カザドシュ(P)、ジョージ・セル/コロンビア交響楽団
オーケストラは透明で美しく、ピアノはバックハウスより柔らかい。グルダ盤やバックハウス盤があったとしても、このカザドシュ盤も欲しくなる。カップリングのNo.26と共にビアノとオーケストラのバランス、絡み合う雰囲気がとても良い


#PHCP−1636
 内田光子(P)、ジェフリー・テイト/イギリス室内管弦楽団
内田盤のシリーズ全体の良さなのですが、デジタル録音の良さで、音が明瞭で美しく音色は際立つというところがあります。このCDもカップリングのNo.26共に、音も演奏も素晴らしいのでNo.20にこだわらないなら(No.20は別に買うのなら)現在のベスト・チョイスか。

#F3OL-20162(LP:SLC-6071) ウィルヘルム・バックハウス(P)、カール・ベーム/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
CDではカップリングに「シューマン:ピアノ協奏曲イ短調/ギュンター・ヴァント指揮ウィーン・フィル」ですが、LP盤では「ピアノ・ソナタ第11番K.331<トルコ行進曲つき>」でした。
バックハウスは一貫して、ピアノの音色や表情により楽譜に色付けや味付けすることを嫌った人でした。ジャケットの写真でもおっかなそうなオジイサンに写っていますが、音楽は端正で落ち着いた優しい演奏です。
ロンドン・レーベルのLP盤の方が音質は艶が有って良かったように思います。No.27が評判のレコードでしたので購入しましたが、No.27が素晴らしいだけでなく、11番のソナタが素晴らしいのにもビックリしました。

#POCL−9417 サー・クリフォード・カーゾン(P)、ベンジャミン・ブリテン/イギリス室内管弦楽団
デリケートでも弱弱しくない。全体がよく計算されていて、お手本になるような演奏で雑誌などでベストに推されることが多い。ピアノもオケも美しいのだが音質がチョット明るいというか深みがないというか、そんな気がして私は上の4枚を多く聞きます。
やはりお手本のようなNo.20とカップリングなので、モーツァルトのピアノ・コンチェルトを1枚買うとすれば、これがベストになるのか。

#FOOL-23042 ヴラディーミル・アシュケナージ(P&C)フィルハーモニア管弦楽団

(LP:FG-227) イングリット・ヘブラー/クリストフ・フォン・ドナニー/ウィーン交響楽団
ヘブラーさんにしろ、ハスキルさんにしろ、女性ピアニストのモーツァルトは若い時に録音されたものの方がデリケートで情感も瑞々しく、良いように思うのですが、スケベなだけでしょうか。(ショパンのP.conNo.1のベルラ・ダヴィドヴィッチさんもデビュー当時の録音の方がずっと良かったです)


「件名」は具体的に

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