移動体通信でどこでも通信
こんな構成でPHS通信ができます。 左側から、PHS、ポケットモデム、200LXです。
200LXのような持ち運びに最適なマシンを持つと、一度はやってみたいことの1つに「移動体通信」があります。ここではPHSの「みなし音声通信」を例に、私の体験をもとにいくつかチェックしてみます。携帯電話では、音質がモデム向けでないために「みなし音声通信」利用できません。
PHSでPIAFS通信を行う場合や、携帯電話でパケット通信を行う場合は、PCMCIAモデムの代わりにPCMCIAの通信カード(これを用いてPHSや携帯電話に接続する)を用意することで、通信が可能になると思われます。
- PHSの選び方
- まずは、貴方がPHSを持っていないなら、または買い換えを検討しているならば、通信に適した機種を選定します。以下はPHSで「見なし音声通信」を行う場合にチェックする項目で、PIAFS通信や、携帯電話で通信する場合は関係ありません。
- ヘッドホン端子の存在
- モデムはここに接続するので、この端子がまずは必須ですね。
- モデムモードの存在
- このモードがあれば、少なくとも信号がモデム向けになるようです。しかし、実のところあまり気にしたことがありません。今はPIAFSで通信するのが普通でしょうから、このモードを備えた機種はまずないと思います。
- DTMFモードの存在
- PHSの一部に、トーンダイアルの音をデコードして電話をかけてくれる機種も出てきています。できればこのレベルの物が入手できれば楽だと思います。
- モデムの選び方
- 次に、モデムを選びます。移動体な訳ですから、カードモデムか ポケットモデムのいずれかでないといけませんね。なお、スピードは9600bps以上であればどれも一緒です。その理由は初期化コマンドのところで説明します。なお、PIAFSカードや携帯電話のパケットカードはデバイス的に「カードモデム」相当となります
- カードモデム
- 「見なし音声通信」の場合はこれが一番スマートな選択肢なのですが、200LXの場合はフラッシュメモリが使えなくなる、バッテリの持続時間が短くなる、というデメリットがあることを計算に入れなければなりません。また後述しますが、PHS通信には対応していないものがありますので、その点も注意が必要です。また、コンボカード(EPSON
FLASH STREAMなど)を使えばフラッシュの問題はある程度解決します。
- PIAFSカード/パケットカード
- PHSや携帯電話で通信を行う場合は、アナログを介さずデジタルのままデータ変換できる手段のため、これが一番スマートな選択肢です。200LXの場合はフラッシュメモリが使えなくなる、バッテリの持続時間が短くなる、というデメリットは、カードモデム使用時と同じです。なお、カード単体で通信できるもの(AIR
EDGE等)もありますが、200LX の電力を電波の送受信等にも消費してしまうので、おすすめできません。
- ポケットモデム
- 最近はほとんど見かけなくなったポケットモデムですが、200LXにとっては「バッテリが別になるので、連続稼動時間が長くなる」「(回線電圧チェックの問題が少ないため)PHS通信には向いているはず」などというメリットが考えられます。私は以前からポケットモデムを使っていたので、それをそのまま流用しました。
- セルラーケーブルの選び方
- そして、PHSとモデムを繋ぐためのセルラーケーブルを用意します。PIAFSカードやパケットカードの場合は、付属のケーブルを使用すればOKです。
- 端子形状が合うこと
- 当然のことではありますが、PHS側のコネクタが合うことは確認した方が良いです。主に2.5φプラグと3.5φプラグの2種類がありますが、ケーブルによっては変換コネクタが添付されています。
- モデムが対応機種にあること
- PHS/セルラーケーブルの組み合わせではうまく通信出来ないことがあるので注意が必要です。というのは、カードモデムには回線電圧(局給電)を監視しているカードも意外と多く、(PHS/セルラーケーブルの組み合わせによるようですが)この回線電圧を供給しない組み合わせでは接続すら出来ないようです。
この場合でも、回線電圧を供給する外部回路を中継させれば通信が可能となります。
- モデム初期化コマンドの注意点
- ソフト的な部分は、普通の通信で注意すべきことの他に、このような点にも注意すればいいでしょう。PIAFSカードやパケットカードの場合は、この項は必ずしもあてはまらないので、それぞれの説明書を参考にしてください。
- 9600bps以下で接続する
- 実際に実験すると分かりますが、PHS通信では14400bpsなどで接続を試みると失敗することも多いです。理由ははっきりしませんが、おそらくPHSで音声データを転送する時のA/D変換で、9600bpsより早い速度だと変換が間に合わず、波形が崩れてしまうためではないかと考えられます。
接続する際は、ATコマンドで接続速度を明示してやればいいでしょう。
モデム種類 |
1200bps固定 |
2400bps固定 |
9600bps固定 |
Hayes標準 |
ATS37=5 |
ATS37=6 |
ATS37=9 |
aiwa |
ATB2%X2 |
ATB2%X3 |
ATB2%X6 |
OMRON |
ATB5 |
ATB6 |
ATB8 |
マイクロコム |
ATF4 |
ATF5 |
ATF8 |
US Robotics |
AT&N2 |
AT&N3 |
AT&N6 |
(BPS 携帯電話接続コード(XMC-1) 取り扱い説明書より表引用)
- キャリア断検出時間をルーズにする
- PHSは通話していても分かりますが、電波状態が不安定だとブツブツ音声が途絶えます。モデムは、相手側モデムのキャリアが一定時間跡絶えると、回線を自動的に切ってしまいますから、これではまずいのです。
そこで、モデムのキャリア断検出時間のレジスタを多めに設定しておきます。 S10レジスタがそれに当たるでしょうか。このレジスタの値を50〜100ぐらいに設定(ATS10=50のように)してやればいいと思います。
- ダイアルトーン検出を行わない
- これはダイアルの仕方にもよるのですが、PHSでは普通局番+通話ボタン でダイアルが完了するために、電話でいうところのダイアルトーン (ツー音)が存在しません。最初に通話ボタンを押すという手もあり
ますが、ATコマンド "ATX3" でダイアルトーン検出は行わなくなります。 内線発信の時などにはこのような設定を行いますね。
- エラー訂正を再度見直す
- 前項と同じ理由ですが、エラー訂正がきちんと働くような設定を していることを確認して下さい。
- それでは、トライしてみましょう
- 設定が終わったら、電波状態の安定したところで実験してみましょう。 200LXと通信機器(PHSや携帯電話まで)を繋ぎ、通信ソフトでダイアルをします
(「見なし音声通信」の場合で、DTMFを認識しないPHSの場合は、同時に手動でダイアルします。 頻繁にかける場合は、PHSの電話帳に登録すればいいでしょう)。
- 私は最初の「見なし音声通信」のトライで(実はPHSを買った直後だったのですが)NIFTYへの接続に成功しました。ハード的な問題さえなければ、そんなに苦労することはないと思います。一応注意点をならべておきましょう。
- 通信中は電話機を操作しない
- ボタン操作により雑音が入り、通信が跡絶えることがあります。
- 通信中はアンテナを触らない
- 電波状態が一時的に悪くなることがあり、通信が跡絶えることがあります。 できれば電話機に触らずに済む状態にしておくことです。
- パソコンや他の電気製品には近づけない
- これはノイズ発生を防ぐためです。
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